高校教師として34年目になる松本英也さん(56)。
現在勤めている新潟県立西新発田高校は、生まれ育った地元・新発田市にある。
進路指導担当として生徒の相談に乗ったり、就職先を探して一緒に企業訪問をしたり。
時には、自らの人生を「教材」として語ることもある。
晩年、十数年も顔を合わさず、最期をみとることなく別れた父との思い出を。
先日、そんな思い出話の一つを朝日新聞の「声」欄に投稿し、掲載された。
タイトルは「ハンバーグの記憶、おもてなしの心」だ。
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私が高校生の時、父が「高級レストランへ連れて行ってやる」と言い出した。
私は「腹がいっぱいになればなんでもいい」と言いながら、父の案内する地元の結婚式場併設のレストランについていった。
メニューは、高級なコース料理のようで父も私もちんぷんかんぷん。
お店の方の助言を受け、やっとの思いでオーダーしたのが「ハンバーグステーキ・ライス大盛り」だった。
しばらくすると、ウェーターさんが「お客様、あちらをご覧ください」。
厨房(ちゅうぼう)の方向を…